内容説明
初期キリスト教の時代、新約聖書はいかなる過程を経て成立したのか？キリスト教会のタブーに鋭く斬り込んだ、アーマン聖書学の到達点。
目次
序章 真理に向き合う
第１章 欺瞞と偽造に満ちた世界
第２章 ペトロの名で書かれた偽書
第３章 パウロの名で書かれた偽書
第４章 嘘や欺瞞に代わるもの
第５章 ユダヤ教徒および異教徒との争いから生まれた偽書
第６章 偽教師との争いから生まれた偽書
第７章 偽りの著者名が冠された文書、作り話、変造など
第８章 偽書と嘘と欺瞞と新約聖書の書
著者等紹介
アーマン，バート・Ｄ．［アーマン，バートＤ．］［Ｅｈｒｍａｎ，Ｂａｒｔ Ｄ．］
ノース・カロライナ大学教授。新約聖書・原始キリスト教史・イエス伝等の研究の第一人者
津守京子［ツモリキョウコ］
上智大学外国語学部英語学科、東京大学文学部歴史文化学科（西洋史学専修）卒業（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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優希
77
クリスチャンとして偽典も容認されてきたということも知るのは必然のように思います。聖書を含め、多くの文書が存在しますが、それら全てが正しいとは言えないことを前提に、偽典に対する考察が語られていました。様々な手法を用いて偽典を突き詰めていくのは興味深いところです。聖典の中の偽書にも目を向けてその正誤性を述べているのは、特に福音を重視する福音派にとってはかなり痛手に思います。信仰者向けではなく、一般対象ではありながら、結構内容は突き詰めているなと。信仰を守るには避けて通れない問題のような気もします。2016/10/03
CCC
3
タイトル的にとても信者は手に取りそうにない。が、これは是非とも一読してもらいたい。案外内容は堅い。いっそ必読本にしたいくらい。聖書は完全無欠な本で一語たりとも足したり引いたりすべきでないとか、神の霊感を受けているのだから正しく伝わらないはずがないとか、ちゃんと向き合えば聖書に対する批判が全て的外れだと分かるとか、そんなことを言うのもいいけれど、その前に考えて欲しいこともある。正しいから正しいのトートロジーに陥らず、確固とした適正な信仰を得るには、この手の問題は避けて通れない道だと思う。2012/11/01
Koning
3
新約学者のイーアマン先生の和訳（なんで、アーマンなんだろ？気付かなかったよ）。邦題がまたアレすぎるんだけど、Pseudepigrapherな話。外典、偽典だけでなく正典に含まれる偽書も俎上に載せ無誤謬を主張する福音派には多分もの凄い痛い本。でも正文批判とか知ってると納得する。信仰を思考停止と同義語に捉えるような人にこそ読んで欲しいなぁ。一般向けなので読みやすいですよ。これを纏めた論文が待ち遠しい。ま、ちゃんとした人は聖書が偽書を含んで矛盾だらけでも信仰は揺るがないと思うよ（w2012/03/28
belier
2
初期キリスト教の歴史を深く知りたくて出会った本。キリスト教には聖書を含めおびただしい歴史文書が存在するが偽書も多い。研究者たちは、真贋を見極めるため知恵を絞る。歴史的事実に照らしあわしたり、主張の整合性を分析したり、文体の比較をしたりする。名探偵ばりの推理を見せてくれて知的興奮を覚えた。新約聖書の手紙類についてはよく知らなかったが、ガラテヤ信徒へなど本物とされたものこそ当時の教えをよく伝えるいう。パウロはペトロと意見が食い違っていた。使徒言行録はそれを覆い隠すために後になって書かれたなど。面白かった。2013/04/14
小澤 泰裕
1
基督教の膨大な僞造文書の考察を通じで、人は何故、嘘をつくのかに迫つた研究書。嘘は道徳的に何處まで許されるのだらう。2013/06/05
